【RPE】★「アメリカ諸悪の根源論」について

      ロシア政治経済ジャーナルNo.2565 (2023/12/2)

 

全世界のRPE読者の皆様、こんにちは!

北野です。


(@今日のメルマガには、一部書籍のPRが含まれます。)


最近、全国民必読の名著


◆『安倍晋三vs財務省

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を何度か紹介させていただきました。

なぜ、世界で日本だけ「30年間全然経済成長しない」こと
になったのか?

「暗黒の30年」の理由が、実名入りで詳細に書かれている
奇跡的本です。

まだの方は、是非この機会にご一読ください。


さて、メルマガを読まれた読者さん数人から、


財務省のバックにアメリカがいて、増税を強いている」


というメールをいただきました。

私は、「そうかもしれないな〜〜」とは思います。

しかし、私は「証拠のない話」はしないことにしています。

財務省が常に増税を望んでいる」というのは、安倍元総
理自身が断言している。


◆『安倍晋三回顧録

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これは、「立派な証拠」と言えるでしょう。

しかし、「アメリカが財務省増税をさせている」とい
う証拠を私は得ていません。

誰もが納得できる証拠をお持ちの方は、是非教えていた
だきたいと思います。


それはそれとして。


アメリカが日本の政治に巨大な影響を与えている」


のは間違いないと思います。

なぜでしょうか?

「日本がアメリカに負けたから」です。

それで私は、2005年に出版した1冊目の本

『ボロボロになった覇権国家アメリカ)』

の中で、


「日本はアメリカ幕府の天領である」


と書きました。

この件で反対されたことは一度もありません。

皆さん、わかっておられるのでしょう。

そう、日本は、(副島隆彦先生風に言うと)アメリカの属
国である。

だから悪いことがあると、「アメリカのせいだ」と考える。

理解できます。

そして、日本には「アメリカが諸悪の根源論者」がとても
多いのです。



アメリカではなくソ連の属国になっていたら?



この件で、私が言いたいことは二つです。

第2次世界大戦後、日本は、アメリカの属国になりました。

一方、「ソ連の属国になった国々」もあったのです。

そう、


アメリカの属国になった国」と「ソ連の属国になった国」


があった。

私は、日本がアメリカの属国である現状を肯定しません。

それで、24年前にこのメルマガを創刊した時から、

「日本の自立」を目指しています。

それはそれとして。

アメリカの属国になったのはとても悲しいことですが、

ソ連の属国になるよりは、ずいぶんマシだった。

このことも理解しておく必要があるでしょう。

そのことがはっきりわかる例もあります。


戦後、ドイツは、資本主義の西ドイツ、共産主義の東ドイ
ツに分断されました。

別の言葉で


アメリカの属国西ドイツ」

ソ連の属国東ドイツ


と言えるでしょう。

民族は同じで、どちらも勤勉で知られるドイツ人です。

西ドイツと東ドイツが統一されたのは1990年。

そして、1991年時点で、


東ドイツの一人当たりGDPは、西ドイツより57%も少なか
ったのです。

(出所『日経ビジネス』2019年11月19日付。
ベルリンの壁崩壊から30年、今も続く心の東西分断』)


アメリカの属国西ドイツは、世界3位(当時)の経済大国
になりました。

言論の自由があり、首相を批判しても逮捕されたりしませ
ん。

一方、ソ連の属国東ドイツは、【 金も自由もない 】状
態になってしまったのです。


もっと顕著な例をあげましょう。

アメリカの属国韓国と、ソ連の属国だった北朝鮮の違いで
す。

韓国と北朝鮮の格差は、なんと【 54倍! 】だそうです。

もちろん、アメリカの属国韓国が、ソ連の属国だった北朝
鮮より54倍豊かなのです。

日経新聞』2023年7月28日付。
朝鮮戦争休戦70年 南北、開いた経済力「54倍」
ドイツ統一時は格差2.5倍 交流停滞、融和描けず』


朝鮮戦争の休戦から27日で70年がたった。
北朝鮮と韓国の1人当たり国内総生産GDP)は2021年時
点で韓国が北朝鮮の54倍まで開いた。
南北間の人の往来も途絶え、統一に向けたビジョンが描き
にくくなっている。〉
ーー

どうですか、この違い。

日本がアメリカではなくソ連の属国になっていたら?


・日本には、共産党一党独裁政権ができていたでしょう。


・皇室は消滅したでしょう。

(@共産主義者は、世界から王室を消滅させようとしてい
る。
例、ロシアのニコライ2世と家族は惨殺された。)


言論の自由はなく、政府の悪口を言えば、逮捕されたこ
とでしょう。


・神社、仏閣のほとんどは、取り壊されていたでしょう。

(@共産主義は「無神論」で宗教を厳しく弾圧します。
ソ連では、ロシア正教の聖職者が大量に殺されました。
無神論の共産中国では、仏教徒チベット人イスラム
徒のウイグル人がもっともひどい扱いをうけています。)


日本がアメリカの属国なのは悲しいことです。

しかし、ソ連の属国だったら、まさに

【 金も自由もない 】日本だったでしょう。

そういう意味で、「まだマシだった」と言えるです。



▼「属国根性」は、他のもっと悪い依存先を求める



なぜ、私はこんなことを書くのでしょうか?

RPE読者さん以外ですが、

日本人の多くには、「属国根性」が染みついていて、


アメリカは諸悪の根源だから、別の大国に頼ろう」


と考えがちなのです。

今なら大きく二種類の人がいます。


一つは、「親中派」です。

この人たちは、

「台湾有事をあおっているのはアメリカです」

などと主張しています。

いえ、アメリカは、台湾有事あおっていませんが。

台湾有事を起こしたいなら、蔡英文さんに「独立宣言」を
させればいいだけです。

その前に、

「独立宣言したら、欧米と日本は台湾を国家承認する」

「中国が侵攻してきたら、必ずアメリカが台湾を守る」

と約束すればいい。

これで、確実に台湾有事は始まります。

ところがアメリカが一貫して主張しているのは、


「武力による統一に反対」

アメリカは、『一つの中国政策』を支持します」


つまり、アメリカは、「我々は台湾の独立を認めないから、
武力侵攻だけはしてくれるな」と要請しているのです。

これのどこが、「台湾有事をあおっている」のでしょうか?


もう一つは、「親プーチン派」です。

この人たちは、「ウクライナ侵攻の責任は、アメリカとウ
クライナにある!」と主張します。

確かに、「NATO拡大」など、遠因を作ったのはアメリ
とも言えるでしょう。

しかし、だからと言って、隣国に突然侵攻し、数えきれな
いほどの民間人を殺していることを肯定していいのでしょ
うか?

こう書くと、「ウクライナ軍がルガンスク州ドネツク
のロシア系住民を虐殺したのが悪い!」と反論がきます。

確かに、ルガンスク州ドネツク州の人たちに聞くと、ウ
クライナ軍がひどいことをした事実はあるようです。

しかし、そもそもなぜウクライナ軍はルガンスク州、ドネ
ツク州を攻撃したのでしょうか?

そう、プーチンがルガンスク、ドネツクの「親ロシア派」
に「独立宣言をさせた」から内戦がおこったのです。

国内のある自治体が、勝手に独立宣言をした。

普通は、「そうですか。では独立してください」とはな
りません。

政府は、独立を阻止しようとし、内戦が起こり、さまざま
な悲劇が起こります。

ウクライナを非難するロシアは、チェチェン共和国が独立
を宣言したとき、

「では、独立してください」とは言いませんでした。

第1次、第2次チェチェン戦争を起こし、たくさんの人が犠
牲になったのです。


ウクライナ軍がしたことは確かに悪いことでしょう。

しかし、その原因を作ったのは、ルガンスク、ドネツク
親ロシア派に独立宣言させたプーチンです。


何はともあれ、日本にもたくさんの「親プーチン派」がい
ます。

その人たちの多くは、「アメリカが諸悪の根源論者」とか
ぶっているようです。


ちなみに「アメリカが諸悪の根源論」は、中国、ロシアが
せっせと流布していることに注意が必要でしょう。


そして、「アメリカが諸悪の根源だから、中国かロシアに
つこう」

というのは、「最悪の選択」であることを私たちは知って
おく必要があります。


中国は、共産党一党独裁国家であり、

皇室、神道、仏教などに価値をおかないどころか消滅させ
ようとしている勢力です。


ロシアは、プーチン個人の独裁国家

プーチン批判をしただけで、リアルに逮捕される国です。


日本がアメリカの属国であることを憤る気持ちはわかりま
す。

しかし、だからといって中国、ロシアにつけば

「ものすごくひどいことなる」ことを知っておきましょう。



▼日本の自立は近い



「じゃあ、永遠にアメリカの属国でいるしかないのか」

と落ち込まないでください。

日本が自立する日は近づいています。

なぜ?

19世紀の覇権国家イギリスは、20世紀緩やかに没落しまし
た。

20世紀の覇権国家アメリカは、21世紀緩やかに没落してい
きます。


これは、不可避な流れです。

アメリカはすでに、中東支配を続けることが難しい状況に
なっています。

いずれ、欧州、アジアからも引き上げる日が来るでしょう。

その時、アジアのバランス・オブ・パワーを守るために、

「日本をもう少し強くしよう」と考えるようになるでしょ
う。

いえ、もうそういう方向に向かっています。

なぜ岸田さんは、いきなり「防衛費を倍増する!」と宣言
したのでしょうか?

これは、間違いなく「アメリカが要求したから」です。

NHK NEWS WEB』2023年6月23日付。



アメリカのバイデン大統領は来年の大統領選挙に向けた
会合で、日本の防衛費の増額について「私は3回、日本の
指導者と会い、説得した」などと述べて自身が働きかけた
成果だとアピールしました。〉
ーー


これを読むと、「岸田はやはりバイデンのポチだ!」と思
うでしょう。

ですが、別にいいのです。

日本がいきなり、「軍事の自立を成し遂げる!防衛費を倍
増させる!」と宣言すれば、

中国、ロシアだけでなく、アメリカも警戒するでしょう?


しかし、今回は、アメリカが「倍増しろ!」といったので、

「仕方ないですね」とイヤイヤ倍増させる。


日本は、少なくとも欧米から文句を言われず、防衛力を増
やし、強くなることができます。

岸田さんの問題は、防衛費を増やすことではなく、


【 防衛費を増やすために増税すること 】


なのです。

ここのところ、はっきり理解しておく必要があります。


長くなりましたが、日本は、アメリカが弱体化するにつれ、
自立度が増していきます。

その兆候もあります。

皆さん、「安倍は、トランプのポチだ」という話を聞いた
ことがあるでしょう。

これ、全然事実と違います。


・トランプはパリ協定離脱。安倍さんはパリ協定支持。

・トランプはイラン核合意離脱。安倍さんは核合意支持。

・トランプはTPP離脱。安倍さんはTPP支持。

・トランプはエルサレムイスラエルの首都と認定。安倍
さんは反対。

・トランプはWHO離脱を宣言。安倍さんはWHO支持。


というわけで、安倍さんは、重要な政策でことごとくトラ
ンプに反対していました。

にもかかわらず、安倍さんとトランプは、親友だったので
す。

これは、「対等な関係」「大人の関係」です。


私たちは、日々の小さな変化に気づきません。

しかし、世界も日本も変わっています。

日本、確かに今はアメリカの属国です。

ですが、自立の方向に確実に向かっているのです。

皆さん、日本の未来を悲観しないでください。

短期的には苦しくても、長期的には明るい未来が待ってい
ます。