【裏RPE】★プーチンがタッカー・カールソンからインタビューを受けた意味

【裏】ロシア政治経済ジャーナル No.174         2024/2/11

 

全世界の裏RPE読者の皆様、こんにちは!

北野です。



皆さん、タッカー・カールソンという人物をご存知でしょ
うか?

FOXニュースの元看板キャスターです。

2023年4月に退社していますが。

この方は、保守派で、トランプ支持で、プーチン支持でし
られています。

そんな、タッカー・カールソンが2月6日、モスクワに来て、
プーチンにインタビューを行いました。

@インタビュー映像はこちら。↓
https://www.youtube.com/watch?v=tIbL_MXK8Tg


これを見て、皆さんに要約をお伝えしようかと思ったので
すが。

産経新聞』2月10日付が報じていたので、そちらを使わ
せていただきます。



〈インタビューでプーチン氏は、ウクライナは歴史的にロ
シアの一地域にすぎなかったが、旧ソ連草創期にソ連指導
部がウクライナにロシア領土を分け与え、国家として成立
させたと主張。

1991年のソ連崩壊時にウクライナは領土を保持したま
ま独立したが、ロシアがそれを認めたのは両国の良好な関
係が続くことを前提としていたとした。

プーチン氏はその上で、ソ連崩壊後のロシアは欧米側の一
員として迎え入れられることを期待していたが、そうはな
らなかったと指摘。

反対に欧米側はロシアとの約束を破って北大西洋条約機構
NATO)の東方拡大を進め、ウクライナまで将来的に
加盟させようとしたと述べた。

さらに米国に対し、2014年のウクライナ政変を主導し
て当時の親露派政権を「違法クーデター」で崩壊させたと
非難した。〉
ーー


最後の「欧米がロシアとの約束を破ってNATOの東方拡大
を進め」というのは、その通りです。

とはいえ、プーチン自身もいっているように、「条約」「
協定」など「紙の約束」ではなく、

「口約束」ではありましたが。


さらにアメリカが2014年の「マイダン革命」と関わって
いるのは本当です。

「主導した」というのか「支援した」というのか、言い方
はいろいろあると思いますが。

オバマ自身も認めています。↓
https://www.youtube.com/watch?v=ES4jslRzQwI&t=80s



プーチン氏は、新たに樹立されたウクライナの親欧米派
政権が、政変に反発してウクライナ東部で蜂起したロシア
系住民を攻撃し、ウクライナ東部紛争を引き起こしたと一
方的に主張。

ウクライナは東部紛争の解決策を定めた合意も履行しなか
ったとし、


「ロシアは22年に戦争を始めたのではない。ロシアの目
標は彼らが14年に始めた戦争を終わらせることだ」


と従来の主張を展開した。〉
ーー

これは、どうでしょうか?

まず、最初の部分。


〈新たに樹立されたウクライナの親欧米派
政権が、政変に反発してウクライナ東部で蜂起したロシア
系住民を攻撃し、ウクライナ東部紛争を引き起こしたと一
方的に主張。〉
ーー

この部分、知識がない人は、「やっぱりウクライナが悪い
んだ!」と信じてしまうのでしょうか?

あたかもウクライナ政府が、内戦勃発の理由であるかのよ
うな。

しかし、実をいうと、内戦がはじまったのは、


ルガンスク州ドネツク州の親ロシア派が2014年4月に、


ルガンスク人民共和国」「ドネツク民共和国」


の独立を宣言したからです。

国内のどこかの自治体が独立宣言した。

普通の国なら、内戦が起こります。

ロシアだって、チェチェンが独立宣言したら、内戦が起こ
りました。


そして、次が一番重要なポイントです。

ルガンスク、ドネツクの親ロシア派は、勝手に独立を宣言
したのではない。

プーチンが独立宣言をさせたのです。


だから、ウクライナ内戦が起こった原因は、プーチンです。


プーチンは、自分に都合の悪いことを隠して、巧妙にプロ
パガンダをしています。

無知なタッカー・カールソンや視聴者は、詳細を知らない
ので、「やっぱ悪いのはウクライナだ」と思ってしまうの
です。

それが、プーチンがインタビューを受けた理由でしょう。



ウクライナは東部紛争の解決策を定めた合意も履行しな
かったとし、〉
ーー

この部分は、そのとおりです。



〈「ロシアは22年に戦争を始めたのではない。ロシアの
目標は彼らが14年に始めた戦争を終わらせることだ」〉
ーー


この部分は、相当無理があるでしょう。

アメリカが、ウクライナの政変を支援した、あるいは主導
した。

だからロシアは、ウクライナからクリミアを奪った。

さらにプーチンは、ルガンスク、ドネツクの親ロシア派に
独立宣言をさせ、内戦を勃発させた。

2022年2月、ウクライナ侵略を開始した。

2022年9月、ルガンスク、ドネツクザポリージャ、へル
ソンを併合した。


欧米がしたことは、「ウクライナの政変を支援した(ある
は主導した)ことです。


だからロシアはウクライナから、

クリミア、ルガンスク、ドネツクザポリージャ、へルソ


を奪った!?


どう考えても、「かなり変なロジック」であることがわか
るでしょう。


しかし、アメリカにも日本にも、知識量が足りない人、

思考停止している人がたくさんいて、


プーチンの言っていることが真実だ!」


と無条件で信じてしまうのです。


もう一つ、とても重要なことを。

プーチン、カールソン、トランプは、「同志」に見えます。

しかし、実をいえば、対等な関係ではありません。


もしトランプが勝てばどうなるでしょうか?

トランプは、「真っ先にウクライナ支援を止める」と公言
しています。

アメリカからの支援が止まれば、ウクライナが敗北する可
能性は劇的に高まります。

(@とはいえ、ロシアがすでに【戦略的に敗北している】
という事実に変更はありませんが。)

トランプは、「めちゃくちゃプーチンの利益に貢献する意
向」であることがわかるでしょう。

一方、プーチンは、トランプやアメリカのために何かをす
る意志はまったく示していません。


結局、カールソンとトランプは、

事実上「プーチンの利益のために動いている」

といえるのです。

プーチン、カールソン、トランプの関係は、


プーチン(ボス)

トランプ(部下)

カールソン(ボスと部下をつなぐ連絡係)


です。

これは、「事実上そうである」という意味です。

 

 


●PS (PR)

北野の新刊が出ています。

「悪いのはプーチンだ!」

「いや、悪いのはウクライナと、背後にいるアメリカだ!」

単純系の「善悪論」から脱却して、【大戦略的見方】を体
得したい人にお勧めです。

単純善悪論ではなく、

「その考え方で行って、日本は【勝利できますか】?」

と質問してみることをお勧めします。

すると、「敗戦時の日本とまったく同じ主張が流行し
ている」事実に気づくでしょう。


●黒化する世界〜民主主義は生き残れるのか?

詳細は↓
https://amzn.to/3AWOtJj

●●●北野自身の解説動画も参考にしてください。

https://www.youtube.com/watch?v=ztbH6IP4uxM

●●●元陸将・渡部 悦和先生の書評はこちら。

https://rpejournal.com/review_watanabe_yoshikazu.html