★日本政府が日本の自動車産業を潰すまでのプロセス

ロシア政治経済ジャーナルNo.2542     2023/9/26

 

★日本政府が日本の自動車産業を潰すまでのプロセス



全世界のRPE読者の皆さま、こんにちは!

北野です。



まずお知らせから。

世界一の親日国台湾をサポートしたい方。

こちらをご一読ください。

https://in.taiwanvoice.jp/futasj2023_kt



では本題。

私がモスクワに行った1990年、ロシア国民の夢は、

「日本製の家電で家を埋め尽くすこと」

でした。

私は当時、知り合いのロシア人に、「日本車は?」と尋ね
ました。

すると、皆口をそろえて、「それは、難しすぎて夢にもな
らん」と言いました。

(今モスクワは、日本車、ドイツ車だらけになりましたが。


そう、1990年当時、世界には日本製品があふれていたので
す。

ところが・・・。

いつ頃からでしょうか?

世界市場で、日本の家電はシェアを落とすようになって
いきました。

はっきりは覚えていませんが、20年ぐらい前でしょうか。

日本を代表する家電メーカーP社の社員が、「韓国に負け
そうだ」と泣き言を言っているという話を聞きました。

私は、「冗談だろう!?」と仰天したのをよく覚えていま
す。

モスクワの家電量販店では、日本製が徐々に駆逐され、韓
国、つづいて中国製が目立つようになっていきました。



▼日本製が中国製に駆逐されたプロセス



思い出してみてください。

1990年代、まだ中国製品は、「安かろう悪かろう」と思わ
れていました。

中国製の服は激安ですが、「買ったその日にボタンがとれ
る」といった感じでした。

「中国製を着るのはちょっと恥ずかしい」という感覚もあ
ったでしょう。

いつから「中国製全然OK」になったのでしょうか?

1990年代末にユニクロが大人気になったことがきっかけで
しょう。

ユニクロのフリースは1998年200万枚、99年850万枚、20
00年2600万枚売れたそうです。

これで、「メイド・イン・チャイナでもいいよね」となっ
た。

要するに、日本の会社が中国で安く生産し、日本が逆輸入
する。

日本企業が、「メイド・イン・チャイナ」の信用を上げた
のです。

それから20年以上の月日が流れました。

アパレル業界はどうなっているのでしょうか?


「シーイン」という会社があります。
https://jp.shein.com/


私にはよくわかりませんが、


「めちゃくちゃ安くてかわいい」と若者に人気なのだそう
です。

シーインの特徴について、小島尚貴先生は、最新刊


◆『脱コスパ病 〜 さらば自損型輸入』

詳細は↓
https://amzn.to/3t5xNPI


の中で、

<「企画、デザイン、開発、縫製、検品、流通、広告、営
業、販売、顧客フォローまで、一つも日本企業の関与なく
完成させた」という点にあります。>(59p)
ーー

と書かれています。


少し流れを振り返ってみましょう。

まず、日本企業が日本で作る段階がありました。

ところが日本企業の一部が中国で製造し、「安くて質もま
あまあ」の製品を作り、逆輸入した。

日本企業が、「メイド・イン・チャイナ」の信用を上げた。

次の段階として、「中国企業が中国で生産した製品を、日
本に輸出する」。

日本企業は、一切関わっていない。

皆さん、どうでしょう?

シーインは、ユニクロに勝てるでしょうか?

小島先生はシーインの未来について、



<日本人が現代中国を見る時は、どんなことを見聞きして
も、最初は油断して見下します。

前作で大きな反響を集めた熊本の「い草、畳表」の事例で
も、

国産農家と自治体は油断で大敗北を喫しました。

同じパターンで、後に白物家電、パソコン、スマホもやら
れました。>(61p)
ーー


と警告されています。



▼最後の砦「自動車産業」も破滅の道を進むのか?



日本はかつて「家電王国」でしたが、韓国、中国にやられ
ました。

それでも自動車は、なんとか国際的地位を保っています。

既述のように、ロシアでも、金があれば日本車かドイツ車
を買います。

しかし、日本の自動車産業は、安泰なのでしょうか?

前述小島先生は、こんなことを書いておられます。



<中国の上汽通用五菱汽車が生産する小型商用EVを佐川急
便に七二〇〇台納品するのは、東京に本社を置くEVベンチ
ャー企業ASFです。>(62p)
ーー


ASFの日本人社長は言います。



<「コストほど顧客に刺さるサービスはない。
15〜16社ほど、さまざまな業界大手から連絡が来ている」
>(63p)
ーー


「コストほど顧客に刺さるサービスはない」そうです。


実際、大手15〜16社が佐川急便のように何千台も購入すれ
ば、

それがきっかけで「中国車でもいいよね」となっていくか
もしれません。


ASFの事業内容を見ると、


<電気自動車の企画、開発、製造及び販売
バッテリーリース事業
上記に附帯又は関連する一切の業務>

ASPのHPより)


となっています。

要するにASFがコントロールし、「中国で安く生産する」
ということなのでしょう。


このパターン、アパレル業界でいえば、「ユニクロと同じ
やり方」と言えます。

ASFが大成功すれば、「自動車もメイド・イン・チャイナ
で大丈夫だよね」となるでしょう。

次に来るのは、アパレルでいうシーインですね。

つまり、中国企業が安く生産し、日本で売る。

その時、日本国民の中国車に対する信用は、すでに醸成さ
れている。


そして、「国がお金を出して中国製電気自動車の普及を後
押ししている」としたら、

皆さん、どう思いますか?



<日本政府は同社(@北野註ASF)のEVに対し、購入と普
及を促進するために


補助金


を適用し、

その補助金込みの価格は一五〇万円程度という低価格にな
る見通しだそうです。>(64p)
ーー


皆さん、これどうですか?

私たち国民が納めた税金が、


中国製電気自動車と

日本自動車メーカーつぶし


に使われる。

小島先生は、こうも書いておられます。



<米国のバイデン政権は二〇二三年四月に、

「米国で最終組立を行っていないEVには米国政府の補助
金を適用しない」と発表>(65p)
ーー


「グローバリストの手下」と親プーチン派からバカにされ
ているバイデンの方が、日本政府より自国企業に優しいみ
たいです。

日本政府も、エコカー補助金は、完全国産車だけにしても
らいたいです。


ところで、今回引用させていただいた、


◆『脱コスパ病 〜 さらば自損型輸入』

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めちゃくちゃ面白かったです。

皆さん、「もっとも長期にわたって日本製品ボイコットを
続けている国」、どこだかわかりますか?

中国?

韓国?


小島先生によると、なんと【 日本 】なのだそうです。

卒倒しそうな話ですが、この本を読まれれば、その意味と

日本衰退の原因、復活の方法

がわかります。

是非ご一読ください。