(アマゾンのレビュー)憲法「押しつけ」論の幻 (講談社現代新書) | 小西 豊治 |本 | 通販 | Amazon

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fine
国民投票による新憲法制定」の規定

2015年2月5日に日本でレビュー済み

ここにレビューを書かれている皆さんは、巻末に付いている憲法研究会の草案そのものは読まれたのであろうか。
最後の「補足」の最終行に以下の条項がある。
”一、此ノ憲法公布後遅クモ十年以内ニ国民授票ニヨル新憲法ノ制定ヲナスヘシ”

護憲か改憲かの議論は長く続いているが、この草案は「国民投票による新憲法制定」を明文規定で入れているのである。推察するに、未曾有の敗戦と占領という緊急事態では暫定憲法にならざるを得ないことを喝破して、安定したら正式な新憲法制定が必要という筋の通った考え方をしていたと想定できる。
また、「国民投票による制定」という点も重要である。現憲法は帝国憲法の改正規定を使ったため国民投票を経ていない。しかし、国の基本となる憲法制定において国民の総意を示すためには、やはり国民投票が必要であろう。この草案はその配慮もなされている。
しかも「遅くとも10年以内」ということは、約7年で終了した占領期間も見通していたかのようで、見事な先見性と言えるだろう。ただ、今や10年も遥かに越えてしまっているので、草案の趣旨からは早期の新憲法制定が望まれるということになる。

なお、著者の小西氏も最終行を読み落としたか、知っていても何らかの理由で無視したか、とにかく「新憲法制定」の項目には全く言及がない。それでも小西氏はこの草案を高く評価して、GHQ草案を介して現憲法につながったというのだから、当然筋の通った「新憲法制定」の規定も評価しておられることだろう。
また、この本の表題にもなっている「押し付け」かどうかに関しては、当時の状況を考えれば外国の占領軍による統治が始まった非常事態であり、そのような状況下で基本法である憲法制定を行えば影響はあって当然。そのため占領下で新たな憲法を制定すること自体が問題という議論もあるが、未曾有の敗戦による国家体制の大転換により、それまでの憲法を使い続けることも困難という状態において、新憲法制定を急いだという事情は充分勘案する必要がある。
よって本質的には「押し付けかどうか」よりも、当時の状況から「暫定」憲法にならざるを得ないと捉えることの方が重要で、憲法研究会草案はそれを正しく見通していたと言えるだろう。

改憲派護憲派も、この先見性のある和製憲法草案の趣旨に沿って、早期に「国民投票による新憲法制定」を行うことで一致することが日本にとって望ましいのではないだろうか。