コロナで借金した人が相次ぎ自己破産、既に20億円が返済困難に。国の無利子貸付制度が生活再建に結び付かない深刻な理由(47NEWS) - Yahoo!ニュース


コロナで借金した人が相次ぎ自己破産、既に20億円が返済困難に。国の無利子貸付制度が生活再建に結び付かない深刻な理由(47NEWS) - Yahoo!ニュース

 

 

門倉貴史
エコノミスト/経済評論家
返済困難な金額がすでに約20億円に上るということだが、コロナ禍で生活困窮者への給付金制度が十分でないために、返済義務のある「特例貸し付け」に多くの相談が寄せられることになったと考えられる。  本来、返済の見込みが十分ではなく貸し倒れのリスクがある困窮世帯に対しては「特例貸し付け」ではなく給付金で対応すべきだった。  昨年度に実施された18歳以下への10万円相当の支給策では本来給付金を必要としない世帯にまで恩恵が広く行き渡ったが、それよりも生活困窮者に的を絞って、より手厚い給付金による生活支援を行うべきだったのではないか。  また、今年6月以降に実施される困窮窮する子育て世帯への子ども1人当たり5万円の支給も、子育て世帯以外の困窮者が給付金の支援対象から抜け落ちてしまっている。

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今野晴貴
NPO法人POSSE代表。雇用・労働政策研究者。
コロナの影響により、シフトが削減されたり、雇い止めにあうなどして、非正規労働者はたちまち生存が脅かされた。そもそも、最低賃金ギリギリで貯蓄をすることもできず、いつクビを切られるかわからないという不安定な境遇であったからである。そのうえ、住居や教育などの基礎的なニーズに対する保障は脆弱で多大な支出をせざるをえない。 コロナ関連の生活支援策はこうした「平時」からの労働や生活の脆弱性を問うことなく、あくまで「緊急時」の一時的な貸付を中心としてきた。このスキームにおいては、「平時」に戻れば就労により債務を返済できるだろうということが前提とされているが、そもそも「平時」から生存ギリギリの賃金しかもらえていないのだから、債務返済ができるはずもない。だから、これだけの自己破産の続出となっているのである。 最低賃金引上げ、雇用の安定化、住居や教育などの保障の拡充など、「平時」から生活を支える仕組みが必要だ

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岡部卓
明治大学公共政策大学院専任教授/社会福祉研究者
生活福祉資金貸付制度は、相談と生活再建に向けた支援の一環として貸付を行う社会福祉活動として位置づけられている。そのなかで、今回、新型コロナにより収入減少等にある人の生活を支える観点からは同制度内にある緊急小口資金、総合支援資金の貸付(新型コロナ特例貸付)を行うことになる。迅速性、即応性を優先した申請・決定・貸付を行われることにより、生活困難から抜け出すことなどの効果が一定程度あったが、もう一方で、個々の生活状況に合わせた相談や生活再建に向けた支援が行えない、また返済の目途がたたない事態が起きている。これら事態を打開のためには、今後、生活福祉資金貸付制度の仕組みで行うことが適当か、また新たな制度的枠組みが必要ではないか、等を検討する必要がある。

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