日本のものづくりはもう勝てないのか!?: “技術大国”としての歴史と将来への展望 | 浅川基男 |本 | 通販 | Amazon


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(アマゾンの書評)

三浦桃香

結局は「個人」がどう能力を発揮するのかに尽きる

2021年7月6日


本著は、製造業の源流とも言える「反射炉や大砲を国産化した佐賀藩主・鍋島直正」「海外の最新のものづくり技術を初めて導入した幕閣・小栗忠順」「日本の近代産業の発展の基礎を築いた明治新政府大隈重信」、また敗戦後の復興と高度成長を牽引した「鉄鋼と自動車産業を世界的水準に盛り上げた西山弥太郎、日向方齊、豊田喜一郎本田宗一郎」らを取り上げ、「技術大国のとしての歴史と将来の展望」をまとめています。
明治から敗戦後の日本人の活躍まで幅広く、かつ綿密な調査や裏付けを元に紹介する本著のハイライトは、第Ⅲ部「日本のものづくりはもう勝てないのか!?」。
日頃、日本とアジア諸国の学生と接して感じる意欲の違いや日米の入試制度の差、ドイツのマイスター制度にまで縦横無尽に広がる話題からは、社会システムや教育システムの問題を解決し、横並びから脱却して個々人の能力を高めていけば、技術大国日本も過去の遺物ではなくなるはずだという思いが伝わります。
国の発展も技術革新も、どれだけ能力と意思を持った「個人」が活躍するかに尽きるのだと、諦念ではなく希望と共に読み終えました。
終始真剣なテーマを扱いながらも、間に挟まれた「閑話休題」等からは浅川氏のユーモアあふれる人柄も垣間見え、読み応えのある1冊です。