筒井 冨美 「女医問題ぶった斬り! 女性減点入試の真犯人 (光文社新書) 」 のアマゾン書評より

筆者はいい先生だと思います

2019年7月13日

 

(引用始め)

医療制度に対する視点も堅実だ。臨床研修制度が医療現場を破壊したことについては同感で、意見というより真実であろう。実は私は30年程前、もちろん現在の臨床研修制度が施行されるはるか前に、いわゆる「地域枠」のような境遇で医大を卒業したのだが、県庁に出向していたキャリア官僚に他科ローテーション研修を強制された。地域で診療するのにいち早く専門技術を習得したいのに、また学生実習のようなことをさせられるのがまったく理解できなかった。なんの意味もなかったという結果を人柱となって示したのに、まったく生かされず、官僚の頭で考えただけの制度が採用されたのには嘆息しか出ない。
新専門医制度の迷走ぶりはもはやパロディだ。そもそも専門性を証明するのにその道の専門家以外ができるのであろうか?しかもをれを医師の適正配置に利用しようとするなど、どうかしている。運転免許を取るのに住所を制限されたとしたら、その免許は本当に運転技能を忠実に評価したものと言えるだろうか。昔はこんな馬鹿なことは地方議員くらいしか言わなかったのだが、いまでは官僚まで恥知らずにこんなことをしている。
医局に対する論調も冷静である。「白い巨塔」的な封建的な悪しき伝統としてNHKはいまだに報じているし、物書き医師の一部は医局バッシングを面白おかしく書いて部数を稼いでいる。そんな一方的で安易な評価をせず、医局の功罪を公平に論じている。

(引用終わり)