これから大変なことが今の国会で決められようとしています。

三橋貴明の「新」経世済民新聞』  2020年2月20日  3月に上程される  とんでもない種苗法改定案  From 小浜逸郎   @評論家/国士舘大学客員教授 ■□━━━━━━━━━━━━━━━━□■ ※配信解除は、最下部でできます。 「桜」騒ぎ、「コロナ」騒ぎで陰に隠れていますが、次のようなことが進行中です。 前衆議院議員山田正彦氏が、種苗法改定の問題点を詳しく検討し、これについて真剣に警鐘を鳴らしています。 https://ameblo.jp/yamada-masahiko/entry-12575782319.html?frm_src=favoritemail 一部要旨を抽出すると、次のようになります。 ①農水省は3月上旬には自家増殖(採種)一律禁止の種苗法の改定案を国会に提出する。自民党筋からの話では、3月中に衆議院を通して4月中には参議院で成立させる予定。   ②政府は農研機構各都道府県の優良な育種知見を民間に提供することを促進するとしている。( 8条4項)。この「民間」には海外の事業者も含まれる。   ③種苗法が改定されると、登録品種は自家増殖(採種)一律禁止になり、農家は登録された品種の育種権利者から対価を払って許諾を得るか、許諾が得られなければ全ての苗を新しく購入するしかなくなる。違反すると10年以下の懲役1000万以下の罰金。    ④いちご・芋類・サトウキビ・りんご・みかん等の果樹はこれまでのような自家増殖ができなくなる。 ⑤米麦大豆などの専業農家は、新しく購入した登録品種を3年ほど自家採種して使っているので、それが出来なくなると経営的に大きな打撃を受ける。   ⑥日本は30年前までは国産100%の伝統的な種子を使っていたが、今日ではモンサントなど多国籍企業の種子を毎年購入し、価格も40〜50倍に上がっている。今度の改訂で、新品種に関してもこの傾向が続くことは確実。 ⑦育種権利者が都道府県から企業に代わった場合、都道府県との契約内容をそのまま企業が引き継ぐ。しかし農家は都道府県と契約など交わしていないのが普通なので、これから新しく企業と契約を交わすことになり、毎年許諾の代価を支払うか、種苗を企業の言いなりの価格で買わざるを得なくなる。   ⑧新品種を育種登録するには数百万から数千万円の費用がかかるので、新しい品種の登録は大企業しかできない。   ⑨新品種であることの認証は、遺伝子解析では不可能。人的能力によるしかないが、膨大な品種の農産物を人的能力で識別することも事実上不可能。 なおこれに関して、山田氏は、「日本の種子(たね)を守る会」を主宰して討論会を開いています。 https://www.facebook.com/events/559943831545149/ 以上ですが、種苗法改定は、日本の農家を守るためではなく企業利益のために制定されることは明白です。 その企業利益というのも、言うまでもなくモンサント(現バイエル)やコルテバ・アグリサイエンス(旧ダウ・デュポン)など、世界的なグローバル企業の収益を指しているでしょう。 ちなみに、種苗業界の売り上げランキング上位10位までは以下の通り。 このうち、米国の上記2社が占める割合は、65%、サカタのタネは2%に達しません。 この法案が通ると、2016年4月に改定された農協法と相まって、日本の農業が巨大グローバル企業の餌食になってしまうことは明らかです。 また財力の乏しい農家はどんどん廃業を強いられるでしょう。 いかに農協ががんばっても、これでは限界があります。 これはまさに、2018年12月に制定された水道民営化法や漁業法改正と同じ方向性で、日本国民の水と食の安全と自給を犠牲にして、外国資本に日本の公益事業や産業を売り渡そうという政策です。 今さら言うまでもありませんが、安倍政権は、この7年間で、移民政策、消費増税、貧困化政策、グローバル企業優先政策、非正規社員増大政策など、数々の亡国政策を取ってきました。 同時に、一方でたびたびの災害や、これから予想される災厄に対しても、財務省のPB黒字化目標を達成するために、財政破綻の危機というデタラメを垂れ流してきた結果、国債発行による十分な財政出動が抑制され、インフラ整備や科学技術振興や社会福祉費や国防費も削らなくてはなりませんでした。 つまり、国民にとって何もいいことをやらなかっただけでなく、悪いことばかりやってきたのです。 この前も書きましたが、この政権は国境の大切さに対する意識がほとんどまったくありません。 鳩山由紀夫氏の言う「日本は日本人のためにだけあるのではない」というふざけた言葉を地で行っているために、国民を困窮の極致に追い詰めているのです。 この政権は、最長にして最悪の政権です。 早く引導を渡さないと、確実に日本は滅びますが、さて、次にどうするかについて、愚かな野党や自民党ポスト安倍候補に期待するわけにもいきません。 今の日本人は、外国から「死にかけたネズミ」と言われているそうですが、言い得て妙です。 戦後最大の危機状態にあるにもかかわらず、立ち上がる気概と結束力を喪失していて、消費増税のようなひどい政策に対しても、大規模なデモ一つ起きませんでした。 これを少しでも克服するには、感情的な支持・不支持、右左イデオロギー対立の不毛、植え付けられた先入観を、私たち自身が一刻も早く捨てることが必要です。 ある政策が国民のためになるかならないかについてきちんと議論する習慣を取り戻し、間違った政策に対しては、力を合わせて反対の声を上げましょう。 不肖わたくしも、言論人の端くれとして、この2月27日に、『まだMMTを知らない貧困大国日本 新しい「学問のすゝめ」』(徳間書店)という本を出版します。 この本では、いまの政治がいかに間違っているか、その結果どんなにひどい状態が起きたか、どのように考えを改めればそれが克服できるかについて、説いています。 少しでも皆さんのお役に立てれば幸いです。 また、筆者も呼びかけ人の一人として名を連ねている令和元年の4月1日に発足した政策集団『令和の政策ピボット』では、「反緊縮財政、反グローバリズム、反構造改革」を掲げて、超党派的に安倍政権の間違いを糺す政策を掲げています。 どうぞご一読されて、賛同者になっていただくことをお勧めいたします。 https://reiwapivot.jp/