「人口減少時代の都市 成熟型のまちづくりへ (中公新書) | 諸富徹」のカスタマーレビュー

人口減少で悩む自治体を持続可能にする希望の政策「シュタットベルケ」を初めて紹介した本!


最近、「人口減少」という題名がついた本をすかさず購入するようになった。私が住む山形県鶴岡市も今年間1200人ずつ人口減少する自治体だ。1200人ずつ人口減ということは税収もそれだけ減るし、よく観光政策での消費金額算出方法として年間一人あたりの消費金額124万円という試算方法があるが、それで計算しても毎年12億円も域内消費が減るということになる。水道事業はどうなるか?下水道事業は?ガス会社は?想定したことがなかった「人口減少」をどこまで正確にとらえ、この歴史の峠を越える方策、政策を打ち出すことができるのか。全国の自治体が悩んでいることと思う。諸富先生は伝統ある京大の環境経済学の先生であり、環境やサステナビリティ「持続可能な社会」を正確に捉えて論じられている。持続可能な社会の社会的要件に、人々の満たそうとする基本的なニーズを妨げないことが持続可能な社会であるという定理がある。諸富先生が論じた「成熟型社会」はこれを真正面から受け止めている。さらに特筆したいのが、160ページ以降の「シュタットベルケ」の記述だ。私もシュタットベルケに関心をもって様々な講演などに参加をし聴講している一人だが、フライブルグのシュタットベルケをとりあげ、見事に分かり易くその意味を説いて下さっている。「エネルギー事業で稼いだ収益を元手に、他の公益的事業に再投資するのが、ドイツのシュタットベルケの特徴である」この動きはみやまスマートエネルギーを先駆例に今、日本にひろがりつつある。そのトレンドをしっかりと捕らえお描きいただいている。「人口減少」からはじまる書籍でここまで希望の解決策が具体的に示された書を私は知らない。この本はまちがいなく名著である。そしてシュタットベルケの普及を心から望むものであります。

 


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